歯ならび・かみ合わせを悪くする原因として、口腔悪習癖やご本人の唇や頬の筋(口腔周囲筋 こうくうしゅういきん)が発揮する圧力やその不調和などの機能的問題が挙げられます。
したがって不正咬合治療では、口腔悪習癖を解消すること、および口腔周囲筋の不調和を改善することもしくは口腔周囲筋不調和の悪影響を排除することがとても重要です。
これまでの矯正治療では、歯ならび・かみ合わせに対する器械的処置に加えて、これらの問題については筋機能訓練(きんきのうくんれん)というトレーニングや指導で対応してきました。
マルチファミリー Multi-Family は、合成高分子(シリコンゴムのような素材)で成形された、いわゆるマウスピースで、
ⅰ)上下顎歯列に加わる口腔周囲筋の圧力を排除できる。
ⅱ)装着時、口唇を閉鎖して使用するため、口呼吸を鼻呼吸に誘導できる。
ⅳ)素材の弾力性により、前歯の歯ならびが徐々に改善する。
ⅴ)上下顎一体型なので、成長期に使用することによって、上下顎関係の改善が期待できる。
などの特徴を有するとても優れた装置です。
マルチファミリーには4種類あり、年齢や治療段階に応じて使い分けます。
以下の写真は、6~10歳に適応するMulti-Tという装置です。
口腔内に装着した状態です。
なお、マルチファミリーの装着条件として当院では、毎日、夕食を済まし歯をみがいた後から約2時間と就寝中の使用を指示しています。