CONTACT

Adress
〒134-0083 東京都江戸川区中葛西8-23-16 コンフォルト吉田1階
※ 東京メトロ東西線『葛西』駅より、環七通りを葛西臨海公園方面へ直進、徒歩10分です。
※ 都営バス『仲町会館入口』停留所前です。

Tel
03-5679-9095
※ ご予約等のお問い合わせは、各診療日の午前10:00よりお受けいたします。
※ 12:30~14:30はご連絡への対応ができない場合があります。

2012年10月30日火曜日

機能的矯正装置② ムーシールド

不正咬合の原因として口腔悪習癖などの機能的要因が挙げられます。

なかでも反対咬合・下顎前突では、

ⅰ)上唇圧の亢進、つまり上唇の圧力が強い。このため上顎前歯が舌側へ傾斜、すなわち内側に傾斜している。

ⅱ)舌が低位、つまり舌が下顎に乗っかるような位置にあり、下顎を前下方に押し下げると同時に種々の舌悪習癖を呈する。

ⅲ)口呼吸が多い。

ⅳ)頬筋圧の亢進、つまり口角~頬の圧力が強い場合がある。これに口呼吸が併発していると上顎が狭窄、つまり上あごの幅が狭くなり、上顎前歯部の叢生犬歯低位唇側転位(八重歯)を呈することが多い。

ⅴ)上下唇咬唇癖、つまり上下唇をくわえ込む癖がある場合が多い。

などの特徴を有します。


ムーシールド MUH Sheild は、柳澤宗光先生により1983年に考案・開発され、1985年に発表された反対咬合治療用機能的矯正装置で、プラスチックに似た硬い素材で成形されたいわゆるマウスピース(正確にはオーラルスクリーンといいます)です。

本装置は、

ⅰ)上唇圧を排除し、上顎前歯を唇側へ誘導する。

ⅱ)舌を挙上、すなわち舌を上顎の方へ押し上げ、舌の理想的な姿勢位へ誘導する。

ⅲ)口唇を閉鎖して使用するので、鼻呼吸を誘導する。

ⅳ)頬圧を排除し、本来の上顎の側方への成長発育を引き出し上顎の狭窄を改善する。

ⅴ)咬唇癖をブロックする。

ⅵ)装置の厚みにより、下顎を後下方へ位置づける、つまり下顎の突出を抑制する。

ⅶ)口唇を閉鎖することにより、下顎前歯を舌側へ傾斜させる、つまり下顎前歯を内側へ傾斜させる。

などの効果を発揮します。

特に、上記ⅰ)とⅵ)およびⅶ)の作用により比較的早期に反対咬合(前歯の逆のかみ合わせ)が改善します。





ムーシールドを使用して反対咬合を改善した症例を以下に示します。

私は2003年暮頃、出張診療先の院長から「日大歯学」という雑誌に掲載されていた記事を見せられ、ムーシールドという装置の存在をはじめて知りました。

本症例は2004年初頭より開始した私にとって初めてのムーシールド治療で、反対咬合治療に本装置を頻用するきっかけとなった症例です。

当時はムーシールドの使用にあたり、装置作製のための型採りを行って模型を調整し、技工所に作製を依頼していました(そのため装置の色が現在と異なっています)が、現在では装置作製のための型採りを行わずにムーシールド治療を行うことが可能となっています。


治療開始時




ムーシールドを装着した状態











治療開始約3ヵ月後











治療開始約1年3ヶ月後


このように、ムーシールドは3歳から使用できるので早期に治療を開始でき、しかも比較的短期間で反対咬合を改善し得るとても優れた装置です。

なお、ムーシールドの使用条件として当院では、毎日夕食を済まし歯磨きを行った後から約2時間就寝中の使用を指示しています。


当院では、成長発育期における反対咬合・下顎前突の治療にムーシールドを積極的に使用しています



下記のWEBページもご参照下さい。


機能的矯正装置① マルチファミリー

歯ならび・かみ合わせを悪くする原因として、口腔悪習癖やご本人の唇や頬の筋(口腔周囲筋 こうくうしゅういきん)が発揮する圧力やその不調和などの機能的問題が挙げられます。

なかでも、口唇の悪習癖口腔周囲筋の不調和は特に影響を及ぼします。

したがって不正咬合治療では、口腔悪習癖を解消すること、および口腔周囲筋の不調和を改善することもしくは口腔周囲筋不調和の悪影響を排除することがとても重要です。

これまでの矯正治療では、歯ならび・かみ合わせに対する器械的処置に加えて、これらの問題については筋機能訓練(きんきのうくんれん)というトレーニング指導で対応してきました。


マルチファミリー Multi-Family は、合成高分子(シリコンゴムのような素材)で成形された、いわゆるマウスピースで、

ⅰ)上下顎歯列に加わる口腔周囲筋の圧力を排除できる。

ⅱ)装着時、口唇を閉鎖して使用するため、口呼吸を鼻呼吸に誘導できる。

ⅲ)装着時、咬唇癖舌突出癖をブロックできる。

ⅳ)素材の弾力性により、前歯の歯ならびが徐々に改善する。

ⅴ)上下顎一体型なので、成長期に使用することによって、上下顎関係の改善が期待できる。

などの特徴を有するとても優れた装置です。

主に、はえかわりの時期の治療(咬合育成治療)のうち、叢生上顎前突過蓋咬合開咬などの治療に適応します。


マルチファミリーには4種類あり、年齢や治療段階に応じて使い分けます。

以下の写真は、6~10歳に適応するMulti-Tという装置です。




口腔内に装着した状態です。













なお、マルチファミリーの装着条件として当院では、毎日夕食を済まし歯をみがいた後から約2時間就寝中の使用を指示しています。

当院では、咬合育成治療や成長期における歯列咬合治療マルチファミリーを積極的に使用しています


2012年10月23日火曜日

エステティックワイヤーシステム

「矯正はしたいけど、金属が目立っちゃうから…」 と、今まで矯正治療をためらっていた貴方へ。

ブラケットだけでなくワイヤーも白くできます












これなら、周囲の視線を気にせず治療できます。

むしろ、貴方のほうから積極的にアピールしてしまうかも…

今後はこのようなシステムが主流となるでしょう。


ちなみに、下はメタルワイヤーシステムによるマルチブラケット装置です。










これでも一般の方々にはほとんど判らないとは思いますが、

一生に一度の矯正治療ですから、綺麗な装置の方がより満足度は高いと思います。

当院では、綺麗で素敵なエステティックワイヤーシステムを皆様におすすめしています。



※ メタルワイヤーシステムのお取扱いは終了いたしました。
※ 2022/12/20 更新しました。

歯ならび・かみ合わせを悪くする悪習癖⑥ 下顎突出癖

あご(下顎)を上げ、前に突き出すクセがあります。これを下顎突出癖といいます。

俗に言う「アイーン」です。

また、直立した際にあごが上がり目線が上を向くような人、いわば「ふんぞり返った」ような姿勢の人もこれにあたります。












あごを上げると、推進力が働いて前方に誘導され、下顎前突・反対咬合になる場合が多いです。





直立した際に重心が足底の後ろ寄り、つまり踵(かかと)に体重がかかる様な状態おなかが前に突き出ると「ふんぞり返った」ような姿勢になり、あごが上がります。

直立する際は重心を足底の中心付近、つまり足の指の付け根あたりに体重をかけるように立ち背筋を伸ばし、おしりを後上方にやや突き上げるようにして、あごを軽く引くのが理想的です。

それから「アイーン」は止めましょう



歯ならび・かみ合わせを悪くする悪習癖⑤ 睡眠態癖・頬杖

歯ならび・かみ合わせを悪くするクセは、口の周りのクセ、つまり、口呼吸や口唇,舌のクセだけでなく、普段の生活での姿勢・態勢にもあります。


寝るときの望ましくない姿勢・態勢を睡眠態癖(すいみんたいへき)といいます。

睡眠態癖には、腹を下にして寝るうつぶせ寝と、横を向いて寝る横むき寝とがあります。

うつぶせ寝,横むき寝では枕を下顎の下に置くことが多いです。

口呼吸の人の場合、下顎に横方向の力がかかり、枕に接する側と反対の方向にあごが曲がることが多いです。


以下の例は、右向き寝をしている人の下顔面と口腔内写真です。










右側の顎に枕があたりますので、下顎は左に偏位しています。


















睡眠時の理想的な態勢は仰向け(あおむけ)、すなわち背を下にし上を向きます。

もちろん、人間は寝返りをしますので、ずっと仰向けでいなくてはならないわけではありません。

入眠時(寝始めるとき)は仰向けになる習慣をつけることが大事です。

ただし、いびきをよくかく人睡眠時無呼吸症候群が疑われる人横向きで寝た方が良いようです。いびきや睡眠時無呼吸は舌根が沈下し気道を閉塞することが大きな要因のひとつですが、仰向けに寝ると舌根が沈下する傾向があるからです。深酒したときも横向きで寝た方が良いかもしれません。


一方、あごを手でささえるクセ頬杖(ほおづえ)といいます。

頬杖をつくと、手をつく側と反対方向にあごが曲がることが多いです。


睡眠態癖,頬杖ともに下顎を偏位させる原因と考えられますので、止めるようにすべきです。


2012年10月19日金曜日

歯ならび・かみ合わせを悪くする口腔悪習癖④ 吸指癖

指をくわえるクセ、いわゆる指しゃぶりのことを吸指癖(きゅうしへき)といいます。

吸指癖があると、くわえた指の分だけ上下前歯の間にすきまができ、開咬になる場合が多いです。










上の例は、親指を上に向けて上顎に押し当てるような指しゃぶり(拇指吸引癖 ぼしきゅういんへき)をしています。

この場合、開咬上顎前突とが合併した不正咬合を呈する場合が多いです。


















指しゃぶりが歯ならび・かみ合わせを悪くすることは良く知られていることだと思います。

3歳ぐらいまでの指しゃぶりは、生理的行動として考えられていますので、無理にやめさせる必要はありませんが、5~6歳以降で指しゃぶりが残っている場合は、積極的にやめさせるように指導すべきです。

また、指しゃぶりは心理的な問題を反映しているとも言われていますので、その点も考慮する必要があるでしょう。


2012年10月13日土曜日

歯ならび・かみ合わせを悪くする口腔悪習癖③ 弄唇癖

吸う、くわえ込むかむなどのクセを弄唇癖(ろうしんへき)といいます。

弄唇癖には以下のようなものがあります。

1) 吸唇癖…唇を吸い込むクセ。

2) 咬唇癖…唇をくわえ込むまたはかむクセ。

など…

弄唇癖があると、その内側の前歯が舌側に傾斜し叢生(歯のでこぼこ),犬歯低位唇側転位(八重歯),上顎前突反対咬合過蓋咬合,など種々の不正咬合が発現します。

上は、下唇を上顎前歯でかむクセ(下唇咬唇癖:かしんこうしんへき)の例です。下唇の内側にある下顎前歯は舌側に傾斜し、かんだ下唇の分だけ上顎前歯が突出して、上顎前突過蓋咬合を呈しています。

                 
     








弄唇癖により発現する不正咬合は、上下どちらの唇をくわえ込む・かむかや、唇をくわえ込む力の大きさなどによって様々なバリエーションを呈します。

また不正咬合の程度は、ご本人の口腔周囲の筋肉の緊張度などによっても影響を受けます。


いずれにせよ、不正咬合の悪化を防ぐため,不正咬合発現の予防のため、弄唇癖は解消しなればなりません



2012年10月11日木曜日

歯ならび・かみ合わせを悪くする口腔悪習癖② 舌悪習癖

舌の置く場所や使い方の不正舌悪習癖(ぜつあくしゅうへき)といいます。

舌悪習癖には以下のようなものがあります。

1) 低位舌(ていいぜつ)…舌を下顎に置くクセ。口呼吸に伴う場合が多い。

2) 幼児型嚥下(ようじがたえんげ)…ツバを飲む際、舌を前歯にあて唇に力を入れるクセ。

3) 舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)…舌を前歯に押し付けたり、上下顎前歯の間から出すクセ。

4) 咬舌癖(こうぜつへき)…舌を噛むクセ。

など…

舌悪習癖があると、上顎の幅が狭くなり様々な歯ならび・かみ合わせの不正を呈します










上は舌突出癖または咬舌癖の例です。低位舌と幼児型嚥下も認められます。

舌を上下の前歯の間に出すクセがあるため、開咬を呈しています。











舌の理想的な位置づけは、舌の先端を上顎前歯よりもやや後ろに置き、舌背(=舌の表面)を上顎の内側に接するように置きます。

これと同時に、口唇を閉鎖させることが重要です。

舌を上顎に置き口唇を閉鎖させるためには鼻呼吸が必須です。

つまり、ここでも口呼吸が悪影響を及ぼしています


舌悪習癖の改善には以下のようなメニューが必要になります。

1) 舌の正しい位置を覚える

2) 舌を上顎にキープし得る(舌の)筋力をつける

3) 舌の正しい使い方として、まず嚥下(=飲み込むこと)の仕方を身につける

4) 舌の正しい使い方として、次に発音(特にサ行,タ行)の仕方を身につける

など…


当院では矯正治療と並行して、舌悪習癖改善のための指導や練習(筋機能訓練)を行っています。


2012年10月10日水曜日

歯ならび・かみ合わせを悪くする口腔悪習癖① 口呼吸

口で呼吸すること口呼吸(こうこきゅう)といいます。

乳幼児期でのおしゃぶりの非使用などにより、鼻で呼吸する習慣(鼻呼吸;びこきゅう)が獲得されず、口で呼吸する習慣が身についてしまうようです。

口で呼吸するため、ほぼ常時、口が半開きになっています。










口が常時に開いていると、上顎の横方向の成長が悪く、上顎の幅が狭くなり、その結果、歯ならび・かみ合わせが悪くなることが多いです。



















口呼吸の悪影響は歯ならびだけでなく、他にもあります。

例えば、口腔内が乾燥することによりプラークなどの汚れがこびりつきやすくなり、カリエス(ムシ歯)や歯周病(歯肉炎や歯周炎)のリスクが高まります

紅茶、麦茶、ウーロン茶、緑茶やコーヒーの飲用などによる着色も多くなります

これらのことはちょうど、カレーを食べた後のお皿やコーヒー飲んだ後のマグカップを、水を張らずにそのまま台所に放置した状態を思い浮かべると、ご理解していただけると思います。


また口呼吸の人は、食事の際クチャクチャ音を立てて噛むことが多いようです。鼻で呼吸する習慣に乏しく、口を閉じて噛むと息苦しいためと思われます。

これを逆手に取れば、口を閉じて噛むことは鼻呼吸獲得の練習になります。まずは口を閉じて5回噛むことからはじめてみてください。食事が嫌にならない程度の回数から順次慣らしていくことが肝要です。


さらに、目の下にクマができるのは口呼吸の人に多いようです。


本来、日常生活においては、呼吸は鼻で行い、口唇は閉鎖しているのが理想です。
(大量の酸素を必要とする運動時は、口で呼吸する方が合理的です。マラソンでは鼻で息を吸い、口から息を吐くようですし、水泳では顔を水面に出して息を吸い、水中で息を吐きますが、当然いずれも口からです。)

なお、鼻咽腔疾患(アレルギー性鼻炎,咽頭扁桃肥大[アデノイド],など)により鼻呼吸が困難なケースもあり、そのような場合は耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。